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セミトレーラ連結車・フルトレーラ連結車の通行許可に関する特例とは
セミトレーラ連結車やフルトレーラ連結車は、日本の物流を支える大型車両です。
本来は車両制限令で定められた「一般的制限値」を超えると通行許可が必要となるのですが、条件を満たせば特例により緩和され、許可なしで通行できる場合があります。
当記事では、その仕組みと注意点をわかりやすく解説します。
セミトレーラ連結車とフルトレーラ連結車について
まず、法令上セミトレーラ連結車とフルトレーラ連結車の2つがどのような車両を指しているのかを理解しておきましょう。
- セミトレーラ連結車・・・運転席とエンジンを備える「トラクター」に貨物を載せる「セミトレーラ」を接続した車両。トレーラの前側に車軸がなく、トラクターに支えられる構造が特徴。コンテナ運搬やバラ積み貨物輸送などで多く使われている。
- フルトレーラ連結車・・・前後両方に車軸を持つトレーラを車両本体(トラック)にけん引させるタイプ。トレーラ単体で自立できる形になっている。
この2種類のトレーラは、大きな積載能力から物流業界で重要な役割を担っていますが、そのサイズや重量は一般的な制限値を超えることが少なくありません。
一般的制限値と特例の仕組み
道路法および車両制限令では、安全と道路保全のために車両の幅・高さ・長さ・総重量などの「一般的制限値」が定められています。
たとえば、長さ12m以下、総重量20t以下などです。
これらの制限のいずれかを超える車両は「特殊な車両」として、原則通行には特殊車両通行許可を得なければなりません。
そのため大型トレーラの多くがこの条件に該当してしまいます。
しかし、物流の効率化を進めるため、一定条件を満たしているセミトレーラ連結車、フルトレーラ連結車に関しては一般的制限値よりも大きいサイズや重量でも通行できる特別の制度が定められています。
その特例により一度に多くの貨物を運ぶことができるため、輸送回数の削減や人手不足対策にも役立ちます。
特例の内容
道路や車種に応じて、下記のように上限が緩和されます。
道路種別 | 最遠軸距 | 総重量の制限値 |
高速自動車国道 ※ | 8m~9m未満 | 25t |
9m~10m未満 | 26t | |
10m~11m未満 | 27t | |
11m~12m未満 | 29t | |
12m~13m未満 | 30t | |
13m~14m未満 | 32t | |
14m~15m未満 | 33t | |
15m~15.5m未満 | 35t | |
15.5m~ | 36t | |
重さ指定道路 | 8m~9m未満 | 25t |
9m~10m未満 | 26t | |
10m~ | 27t | |
その他 | 8m~9m未満 | 24t |
9m~10m未満 | 25.5t | |
10m~ | 27t |
※首都高速道路、阪神高速道路、その他の都市高速道路および本州四国連絡橋道路は含まれません。
このように特例の内容は道路ごとに指定されており、その区間を外れると緩和は適用されません。
「特例値を超える寸法・重量で走行する場合」「特例対象外の車種や形状の場合」「特例区間外(一般道や市町村道など)を走行する場合」などでは通行許可が必要となることに注意しましょう。
また、高速自動車国道に関しては「長さの特例」も設けられています。
- セミトレーラ連結車の場合・・・16.5mまで
- フルトレーラ連結車・・・18.0mまで
もし特例の適用を受けて通行できるとしても、車両サイズが大きいことに変わりはありません。
交差点の右左折や橋梁通過時は安全確保に努めましょう。
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